今週の振り返りをしたい。米・日とも決算シーズンとなり、それぞれ(意外と)堅調な企業決算が上げの主因となっている印象である。米国はともかく日本企業、特にシクリカルの決算が、個人的には思っていたよりも良いと感じている。もちろんアフコロは下方修正連発なのだが、株価はさほど反応していないのはあの夏のコロナの状況を誰もが知っていて織り込んでいたということだろう。もっとも、今のアフコロの株価水準でどうやって織り込んでいるのか、バリュー投資家としてはさっぱり分からないが、まあそういうことだろう。
相変わらず米10年金利は1.6近辺でうろうろしたままだ。ここ数日、1.5台まで低下したがこれは上図の通りBEIが下がったことに起因していると思うし、結果的に実施金利は-1%程度でそんなに変ってはいない。それにしてもこの実質金利のマイナスの解消はいつになったらなされるのか。今年3月のリフレトレード時代にはかなりマイナス幅が縮小していったのだがその後BEIばかりが上がり名目が上がらずむしろ実質金利は去年水準に押し戻されているのは上図の通りだ。
今週は短期金利側は利上げ観測、22年に2度利上げを織り込む形でかなり急上昇したのだが、これが逆に景気減速懸念を産み10年金利を相対的に押し下げるという皮肉な結果となっている。
ここからいっそのこと供給制約解消からの逆に供給過剰、デフレ懸念でBEIが1くらいまで落ちるなどしない限りもはや実質金利のプラ転が見えてこないといった冗談か冗談でないのかよくわからない考えさえ浮かんでくる。もっともそんなことになれば中銀は喜んで緩和継続するだろうから元も子もないのだが。

S&P500の日足チャートだが、水曜日に陰線で下落し個人的にはやや「ひやっと」した。日足RSIは80程度であり、チャートを見ればわかるが過去このRSI80でなおかつ2σの株価位置から下落した際は25MA割れまでの調整が定番であったからだ。私としてはここでまた中途半端に調整が入るよりもさっさと最後の噴き上げに行って天井を付けてほしいので、(私には珍しく)ブル寄りの意見であるのだがここは1σまでの調整で終わってほしいと思っていた。
すると木金と1σにすらタッチせず陽線で返してきて結果最高値である。いやはや、脱帽である。

S&P500の週足チャート。これを見ても週足でレンジエクスパンドのバンドウォークをしかねない形状になってきている。無論10月頭の下へのオーバーシュートの倍返しで、この辺りで終わってしまう可能性もあるのだが、いやいや、ここはさっさと5000まで行って2000まで落ちてほしいところだ。
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TOPIXの週足チャート。週足MAで耐えている。形的には三角持ち合いだがすべては米株次第なのは言うまでもない。
もっとも、昨日の週末+月末という下げの特異日においても僅かながらプラスで終わり、これは8月の月末と様相がやや似ているともいえる。昨日については前場バリューを中心にきつめの下げが来たが後場笑ってしまうようなリバウンドで幕を閉じた。海外勢のおもちゃになっている感じだが、足元の決算が意外と底堅いのと、選挙イベント通過という後付けの理由で上仕掛けされる可能性を考えれば、売り方としても持ち越しはハイリスクだったのだろう。既にこの月末下げアノマリーは8月に途絶えており、そこまでの威力は無くなっていると思うしそれが逆に天井圏を示唆していると私は以前ツイッターでも記載したがその考えは変わっていない。
バブルの本尊米株に関しては、足元の決算が好調なところが多いのと、「サプライチェーンが元に戻ればインフレも収まる」という楽観論、そして以前昨年並みの実質金利のマイナスによるTINA、これらをカタリストとして最後のロケット噴火が来そうであるし、そう期待したい。ここで変にガス抜きの調整が入るとかえって厄介である。もしここで12か月MAまでの調整を入れてくるのなら、大天井は延期になる可能性が高いと思うし押し目買いをせざるを得なくなるのではないだろうか。個人的にはこのつまらないパターンだけは避けてほしい。
以前にも書いたが、私は現在のインフレの元凶はサプライチェーンの乱れというよりはむしろ緩和マネーの商品市場への流入があると思っているので、コロナが落ち着き供給制約が解けたところでそれに安心して中銀が利上げをしないのなら問題は解決しないと思っている。というよりも、コロナ禍以降のすべての問題の根源、バブルも含めてだが、それが緩和にあると思っているし、今牙をむいているのはその副作用そのものだと思っている。まあこの辺りの答え合わせは来年には分かることだろう。悲惨な答え合わせをしないですむように祈っている。
さて、私はといえば細々した売り買いはあったものの大局的には相変わらず殆どノートレでPF変わらずのまま決算突入している。各企業の決算に対する感想は別途記載したい。