いやはや、さすが究極のインサイダーにして仕手筋、ともはや感嘆するしかない。
利上げを織り込んでいた市場の期待を「裏切り」、利上げに慎重姿勢を示したパウエルはこのバブルの最大の立役者だろう。そもそもあの立場にいながら株やETFを個人的に買えるということにも驚愕だし習近平もビックリだと思うが。
FOMC通過で米株は各指数とも最高値、週足がレンジエクスパンドしだしたのでITバブル期の最後のような噴き上げが来ることは相応の確率になってきた。
イールドカーブのほうは利上げが遠のき景気後退懸念がやや低下したことでスティープニングで反応している。ただ今年の春の水準にはまだ及んでいない。
今日の日本株は寄り付きこそ空売りの買い戻しとみられる買いが集まったが結局個別で見ると寄り天が多く、そこまでかいが続かなかった。3万円の窓埋めはわずかに及ばず、日足2σに抑えられた格好だ。おそらくここから先の米株が89年の日経のように噴火してもそこまで日本株はついていかないだろう。あくまで向こうがバブルの本尊であり、言い方は悪いが中銀のトップ以下国民全員がラリっているような状況なのだから。日経のバブル期も国が異常なPERを公式に肯定するような状況だったというから、バブル期はどこも似たようなことになるらしい。
それにしても、この期に及んでインフレの責任を供給制約だけに帰し、緩和の弊害に目を向けない図太い神経には恐れ入る。インフレがさらに牙をむくのが先か、クラッシュが先かは分からないが、パウエルのスタンスを額面通り受け取るのなら、この段階からでもやはり資源高恩恵銘柄やそもそものコモディティを買ったほうが良いようにも思えてくる。これらは既に高値圏にあるが故私は敬遠しているが、PFのいくらかには入れておくべきかもしれない。あるいは、ビットコインなど仮想通貨に走りたくなる気持ちも少しではあるが理解できる(まあ私は買わないが)。これだけバラマキを続ける麻薬中毒者が印刷する紙幣など、信用できなくなっても無理はない。
日本でも先の選挙においてバラマキ合戦の選挙戦となったが、どこもかしこも衆愚政治の極み、パンとサーカス状態になっており唯一まともなのは中国、という非常に皮肉な状態になっている。中国に関しては先進国各国が緩和の麻薬中毒になる中早々に引き締めに入り異彩を放ってきたが、緩和麻薬でラリっている各国の通貨価値暴落と人民元の台頭を目論んでいるという見方もあるようで、さすが目先の票集めに奔走しなくてよい独裁者は物事を見るスパンが違うなぁと変に感心している。中国発のコロナを機に各国が一層の麻薬中毒になり自ら没落していく一方、中国自身はさっさと断薬し棚ボタ、などというストーリーは、陰謀論好きならずともやけに現実味があって恐ろしい。目先の10万円をねだってなけなしの貯金の価値がそれ以上に下がることに気づきもしない国民しかいない国では、没落するのも当然だが。
中国といえばエバーグランデ問題もすっかり忘れ去られ「そんなんありました?」状態だが、無論かの国の不動産バブル問題はなくなったわけでもなく当局の引き締め姿勢もベースとして変わっていない。そしておそらく、実際にこれがはじけた時、影響が大きく出るのは中国自身よりも先進国のほうではないだろうか。既に限界まで緩和しているような先進国は、次の不況で何ができるだろうか。まあパウエルならETFを買うのだろうが、その次がないことは黒田が証明している。先進国はこぞって中国のITセクターへの規制に始まる様々な引き締めを批判しているが、これこそ巨大なブーメランであり本当に批判されるべきは緩和中毒の自分自身であるのは明白だろう。
さて、今後の相場についてはとにもかくにも米株の噴き上げがどこまで、そしていつまで続くかという一点にかかっているが、なんとなくスケジュールもITバブル期に似ていると思うのは私だけだろうか。あの時は11月から噴き上げが始まり3月に天井を付けた。これをトレースしてくるなら面白い。
日本株については来週まで決算での個別株勝負が続くが、米株がこんな状況なので少なくとも数か月はそこまで下値を警戒する必要はないと見える。大きく下がったものがあれば拾っておきたいと思う。まあ、こんな気のゆるみが暴落のエサなのだが、最近はどんだけエサを撒いても全く寄ってこなくなった。