今週は米株の噴き上げを確信する週となった。
なんといっても米英の中銀がせっかく市場が織り込んでいた利上げを自ら否定しにかかるという暴挙に出て、これはもはや民が暴走するバブルではなくまさしく官製バブルなのだということを確認させられたということだろう。巨大債務を抱える各国にとって、もはや解決策は巨大なインフレで債務を帳消しにするしかないという暗黙の了解があると勘繰られても仕方が無いような状況である。
米株は昨日は3指数とも上髭が付き1,2日の調整を挟むかもしれないが週足は典型的なレンジエクスパンド・バンドウォークの様相であることは変わりない。
そして昨日は長期金利が下がり1.4台となった。イールドカーブはFOMC後のスティープニングをほぼ帳消しにした。はしごを外された売り方の買戻しが進んだようだ。
雇用統計は強いものだったが、労働参加率の低さは緩和中毒のパウエルに大義名分を残す形と捉えられたのだろうか。そもそも、緩和による資産バブルが労働意欲を削いで労働参加率を押し下げているというのに、労働参加率が上がらないことを言い訳に緩和を続けると言うのなら永遠に緩和は終わらないということになる。そしてそれは中銀自身も分かった上での確信犯に見える。即ち、彼らは本心においてインフレによる債務軽減を望んでいると思う。
さて、私自身は決算シーズンが終わればまた相場からは距離を置きたいと考えているが、いずれにせよ金利がこの水準では話が始まらない、といったところか。中銀はバブルをつぶすどころかバブルを助長したいことが明確に示されたのだから、これが潰れるのはむしろ民がノーを突き付けるとき、そしてそれは債券市場からといったところになるのだろう。
個人的には70年代の2桁インフレを持ち出す論にはやや懐疑的であったが、ここまで来るとあながち間違いでもなさそうな気もしてきている。また、日本においても馬鹿の極みのような現金再給付が検討されているという。なんでもかんでも欧米の真似をするのが好きな国だが、インフレに苦しむ欧米の悪行すら真似をするということなので、救いようはない。もっとも、国民性の違いから欧米ほどのインフレになる可能性は低いと考えているが、ある程度のインフレヘッジは必要かもしれない。
とにもかくにも、当面は株式市場ではなく債券市場を見ておけばよさそうだ。かねてから言っているように、まずは実質金利が0近辺にならないとクラッシュのスタートラインにも立てないということだろう。アラートでも設定しておいて、寝ているほうが良いかもしれない。