降って湧いたように世間の話題は「オミクロン」一色となっている。

先週の急落ではこの変異株によるリオープンとん挫懸念から、主にアフコロ、シクリカルが売られ、相対的に巣ごもり銘柄が買われた。

なぜ5月のデルタ株登場では大した反応を見せなかった市場がここまで動揺したのか。まあ、動揺したと言ってもまだ1日だし週明け1,2日で戻す展開も十二分にあろうが、注目すべきはやはり原油が1日の下げ率としてはコロナショック以降最大の下げを見せたことではないか。

ずっと書いてきたが、現状の資源高はもちろん実需や脱炭素からの供給制約もあろうが、相当に緩和マネーの投機的流入が嵩上げしており引き締めになれば萎む可能性が高いと考えている。今回、変異株が図らずもその「引き締め」の代わりに機能したことで、簡単にこれだけ下がったと言うのはやはり、といった感がある。

陰謀論好きの人なら米国が変異株を撒いてインフレ退治したとでも言うのだろう(笑)。

もっとも、今回のような変異株でのインフレ退治はその後に緩和をしないという条件付きだから、事実上そんなことはあり得ないので一時しのぎでしかない。この辺りは、前回の記事でも書いた通りだ。

とはいえ、最近は極端にインフレ懸念のトレードが進行しており、また、いわゆるアフコロ株は特に勝ち組については相当なバリュエーションまで買われていたため、調整がいずれにせよ必要だったということではないだろうか。

一方の巣ごもり系はコロナ初期に買われたもののその後売られているものが多かった点も巻き戻しにつながったのだろう。

さて、個人的には今回のネタは大暴落として弱いと言うのはこれも前回書いた通りで、ただ一つ逆に懸念しているのは中途半端なガス抜きの調整が入ることで再度バブル継続とならないか、ということだ。

以前にも書いたように変に12か月MAや24か月MA程度の「中暴落」が入ってしまうと再度上昇基調になりかねないと考えている。特に米株はやっと最後の噴き上げに向かいつつあったのにまた週足MAに引き付けられており、このまま噴き上げがないまま調整に入るとこのパターンを考えざるを得なくなり、余計に戦略的には難解になる。

「大暴落」につながるべきはやはり中国不動産バブル崩壊と世界的な債務危機でしかないと思っているので、今回の変異株ネタではせいぜいが「小」または「中」暴落であろうが、うだうだ言っている間に中国がやらかし始めると話は変わってくるのでむしろそちらを注視していきたい。

一つ心配なのはこの期に及んで欧州などが再ロックダウンなどを一部検討したり実施したりしている点だ。このこと自体は2020年春のコロナ相場の再来にしかならないので市場への影響はやはり限定的だと思うが、問題は再ロックダウン→再バラマキ→債務さらに倍、などというコースになれば、もはやその後の結末は悲惨なものになるだろうし底練りは半端ない年数になりそうに思える。

各国とももはやこのコースをたどるような体力はないのは分かっているはずなのに再ロックダウンというワードがちらほら出てくるのは非常に違和感を感じる。政治家がサルより馬鹿だとしてもその程度のことは分かるはずなのだが…陰謀論的には通貨価値をリセットして債務をなかったことにしたいのか、と勘繰られてもしょうがない。

さて、実際のトレードの方向性としては、今回のインフレ懸念トレードの巻き戻しが「調整」に過ぎないのか「トレンドの転換」なのかがまだはっきりとしない以上、セクター別の戦略についても判断は時期尚早ではないか。

既に変異株の毒性自体はさほど強くないという話も出てきている。このネタで引っ張る可能性もある一方、数日で手のひら返しが来る可能性も相応にある。

個人的には過度なインフレ懸念が払しょくされ売り込まれてきたコロナ恩恵系が再度評価されるならば食品株のウェイトを増やそうかとも思ってはいるが、既にPFの半分が食品なのでこれ以上偏らせるのもどうかといったところだ。アフコロ、シクリカルはそれぞれ10%台のPF占有率だが、いずれも完全に切り捨てると見立てが外れた時に困る。もっとも、変異株抜きにしてももはやシクリカルの最後の噴き上げは無さそうな雰囲気になってきているが…。

指数、日経としては来月に9月のようなショートスクイーズが起こらなければ終わりと判断して良さそうではある。もともと3万円台は月足では今年全て上髭に終わっており、いずれにせよ年高更新は相当ハードルが高そうだ。

とにもかくにも本質を見失わないようにしたい。引き続き注意すべきヘッドラインは中国と債務、そして金利動向・インフレである。同じネタでは、しかもまだ前回から2年もたたない使いまわしのネタでは、再度の大暴落は現実的ではないと思う。援軍が来るのか来ないのかが焦点だろう。

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