FOMC通過上げは幻か 2021年12月第3週の振り返り

今週はFOMCに振り回された週となった。

日経は週前半、このイベントを前にして動きにくい状態が続いていたが米株がFOMC通過の棒上げを見せると翌16日には窓を開けて急騰、しかしその夜米株特にグロースが全戻しのような下げに見舞われると17日の日経も全戻しで即日窓埋めという荒っぽい値動きとなった。

FOMCについては内容的には想定内ということで一旦は通過上げとなったものの、英国の利上げなどのニュースも入って再度引き締めを警戒する形でナスやSOXが反落、昨日は米国版SQであったが、今度はバリュー中心のダウが500ドル超の下落となり結果的にこの2日で満遍なく下落となっている。

それにしても、11月の頭には米英共に市場が織り込んでいた利上げを否定しにかかっていたのに、1か月強たった今すっかり景色が変わっている。米株の噴き上げは10月~11月にかけての1割ほどのものに留まって、現状はWトップのようなチャートとなっている。

さて、金利はどうかと言えば最近はリスクオフの金利低下という動きと、引き締めからの景気減速懸念での長期側の下落が目立つようになっており10年利回りは1.4程度とパッとしない。

下図は10年-2年のイールドカーブであるが今年の最低レベルまでにフラットニングが進んでいることが分かる。これはいわゆるシクリカルにはあまり良い状況ではない。

BEIについても確認しておこう。下記の通り2.4付近となり、引き締め観測もあってか一時に比べて減速傾向にある。実質金利は-1程度となり、引き続き大きな調整が持続的に生じるのは難しい状況に見える。

12月頭のプチ調整時も、金利はむしろリスクオフの低下となり実質金利の改善は見られなかった。もちろん今後本番の下げになれば一緒に債券売りが生じることは十分あり得るだろうが、少なくとも現状の水準ではフラッシュクラッシュ的な短期かつ急激な下げしか見込めないだろう。

 

下図はSP500の週足チャートであるが、依然週足MAは下回っていない。仮に下回ってもレンジ移行というステージになる可能性も相当に高く、その場合4300程度を下限に見ることになろうがそれでも10月安値よりは高いというレベルだ。一方で4700を超えると売り、というのが一貫して機能しており、このラインをなかなか超えられない状況が続いている。

FOMC後の棒上げは木、金の下落で否定された形ではあるものの、元々米株はSQにかけて調整傾向がみられるため本番は来週ということになろう。来週も下げが続くようであればFOMC通過上げは騙しだったことになる。

元々、いくら想定内の話とは言え特にグロース系にとってはここ最近の中銀の「タカ転」は良いはずがなく、上がるとしてもシクリカルが上がるのが筋に思えるので個人的にはFOMC後のとりわけナスの上げはかなり違和感があった。いずれにしても指数がこの位置で飛びつき買いをしてもせいぜい最後の噴き上げを取れるか取れないかの話に過ぎず、ろくなことは無いように思える。買うのであればbuy the dipを徹底したほうがましだろう。

さて、利上げというと緩和中毒相場には劇薬に感じるかもしれないが実際には過去大きな調整は利上げよりも利下げ時に起こっていることはよく知られている。下記はFederal Funds Effective Rateであるがそもそも利上げ時というのはここ20年程度でいえば良いインフレ、良い景気過熱を引き締めるステージであるから少なくともシクリカルにはさほど悪影響はなく、調整が入ってもいわゆる押し目にしかならなかった。だから利上げ時に大暴落は無く、むしろ景気が減速し始め利下げに転じてからが大暴落のタイミングであった。

しかし今回は必ずしも過去のパターン通りになるかは不透明だろう。それは当然、インフレの種類がかつてのようなディマンドプルではなくコストプッシュでありさらに言えば異次元緩和による通貨価値の毀損という側面も見え隠れするものであるからに他ならない。そして指数の位置、米株の異常なバリュエーション、利下げ余地の少なさ、現金バラマキに慣れた国民、すべてが過去とは違う次元になっており、次のクラッシュ時に中銀が打てる策は事実上ETF買い入れという最後のカードしかない。

普通であれば金利上昇局面はシクリカル中心相場になろうが、今回は過去とは利上げの性質が違うことは注意すべきだろう。

ただ、中銀が引き締めに転じる姿勢を見せる中、資源価格はやや下落に転じておりそれはCRB指数などを見てもわかる。かねてから資源価格の高騰は実需に加え相当に投機資金の流入が嵩上げしていると書いてきたが、要はリスクオフになればすべてが下がるというのは間違っていないように見える。

今後、中銀が適度に引き締めをちらつかせながら資源価格をコントロールできれば、コストプッシュインフレ懸念で売られていたシクリカルに再度資金が流入してもおかしくはないかもしれない。ただ、米株はシクリカル含めすべてが割高であり、では割安なコロナ安値付近の日本のバリューに資金が来るかと言われるとなかな想像もつかず、いずれにせよ目先では上値余地よりも下値余地が大きい相場展開が続くのだろう。

来年は暴落が来るのではないか、という意見も昨今の引き締めから所々で見られるようになった。私も元々来年の春までには指数は天井を付けるとずっと書いてきているが、かといって暴落が天井を付けた後すぐ起きるかは別問題である。例えば2006-2007年や2018-2019年のように、高値圏で1~2割程度の調整を挟みながらもうだうだ推移するというのも十分にあり得よう。それはおそらくグロースの下落をシクリカルバリューが吸収する形で指数としてはそれなりに耐える、という展開が最も可能性が高く感じる。本番はその後になってもおかしくはない。

 

 

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