あまりにシナリオ通りの米株の変調 2022年1月第1週の振り返り

ちょっと違和感を感じるほどにベタな展開となった1週間だった。

かねてから各種メディアでも指摘されていたFOMC議事録の公開後、FRBのタカ派姿勢から米株はナスを中心に下落が続いている。そして日経も29500は届かぬまでもほぼ三角保ち合いの上限で落とされ、どちらもあまりにもシナリオ通りに進みすぎているようにすら感じられるほどである。

実質金利は上図の通りやや急角度で上昇を見せている。QTによる長期金利上昇とFRBのインフレ退治姿勢に伴うBEIの下落で、-0.7程度まで来たものの依然プラス圏には程遠い。しかしこの水準は上図の通り昨年早春のバリュー相場時に通じるレベルであり、足元バリュー優位になっているため私含めバリュー系のPFを持っている方は昨年相場の再来かと少なからず期待してしまうところであろう。

一方で上図、2年金利は利上げの織り込みが進み昨年のバリュー相場時はほぼ動いていなかったのに比べて足元急上昇を見せている。このままいくとコロナ前水準も見えてくるというレベルだ。

結果として10年-2年の金利差は昨年のバリュー相場時には遠く及ばず、という状況である。足元シクリカルはじめバリュー株が優勢になっているが個人的にはこのイールドカーブでは昨年3月のようなレベルのバリュー相場になるのは厳しいのではないかと考えている。

そもそも、昨年の春はワクチンが経済再開の希望をもたらしアフターコロナの好況を多くの人が夢見ていた。一方足元はどうかといえば、インフレが既に大きな問題として共通に認識され、せっかくの経済再開もオミクロンに邪魔をされグダグダになりつつあり、反動消費もそう長くは続かないというフェーズに差し掛かっている。金利上昇も景気の改善を指し示すというよりも中銀の引き締めによる需給を反映してのものであり、ここでバリュー、特にシクリカルを買い推奨する証券会社の意見にはやや首をかしげたくなる。

もちろん以前実質金利が低い中、消去法的に高配当バリューが買われる展開はこのブログでもその可能性を論じてきたわけであるし実際私自身も少ないながらバリューのPFを保有しているわけでその展開は無くなはいとは思う。

ただ、昨年のバリュー相場が好景気の「期待」というポジティブな買い理由に支えられたものであったのに対し、足元のそれはどちらかというと「他に選択肢がないので」というネガティブな理由からの消去法的なバリュー買いに見えるため、さほどの上昇やそう長い買いの持続は期待しにくいのではないだろうか。

月足を見ても多くの大型シクリカルは昨年の春の1つ目の山から月足MAを一旦割れ、今戻しに入っている途中が多いように見えるが1つ目の山を越えるのは至難の業に見える。可能性はもちろん無くはないが私ならせいぜいWトップをベストシナリオとして売り指値をする。

バリューが大相場となったリーマンショック前などを持ち出し、まだまだ伸びしろはあるとみる見方ももちろんできる。しかし例えば資源価格の高騰については相当に緩和マネーの流入があったものというのは一定コンセンサスが得られるものだろうし、中銀がタカ転をしブレーキ役となったことで、こういったものも以前のようには大噴火しにくくなったことは間違いないだろう。今回の中銀のタカ転は確かに第一義的にはグロースに直撃するが、バリューにとっても決して追い風というわけではない。

さて、今後の展開について何より事を複雑にしているのがオミクロンである。厳密に言うと、オミクロンそのものではなくオミクロンに対する各国政府の対応である。とりわけ我が国のトップはコロナに対する「逆」正常化バイアスを持っているのではと思うような対応であり、せっかくウイルスが弱毒化したとしても羹に懲りてなますを吹くがごとく過剰反応を続けこのコロナ禍を終わらせようとしない可能性がここに来て急浮上している。それがワイドショー中毒の中高年支持層の支持率を上げる手っ取り早い方法だということもおそらく承知の上ではないだろうか。科学的かつ論理的なこのウイルスのリスク評価よりも世論や支持率に忖度することを優先するのはどこの「民主主義」国でも同じだが、欧米では国民の側が制限緩和を求めているのに対しこの国は一部の若者以外はむしろその逆の様相を呈しているのが興味深い。

欧米でインフレ対策の引き締めが進む中、国内は規制・自粛ムードが世界で最後まで残り需要も低迷したままとなると、日本株オンリーの自分としては極めて不都合な結論にたどり着かざるを得ない。

とはいえ、この国はどこまでも欧米のまねごとをし続ける国なので、既にイギリスなどはさほど規制を強化せずにオミクロンをやり過ごそうと努力しているあたり、結局はそれが成功するかどうかにかかっているという側面もあろう。

しかし、もし欧米が規制強化に再度走るような展開になれば、すべてがひっくり返されることになるのは言うまでもない。既にFRBはオミクロンの拡大をインフレリスクの増大要因と捉え緩和の言い訳にしないという意思表示をしているものの、コロナ以降のFRBの豹変はすでに何度も見てきたことであるし数か月後には180度違うことを言っていても何ら驚くに値しない。

再度の規制強化はまさかのコロナ延長戦もやはり視野に入れるべきだと思うし、そうでなくとも、足元タカ派に転じた中銀も一定の株価下落を浴びせられれば白旗を上げるのは想像に難くない。そして一度現金のバラマキというパンドラの箱を開けた中銀は、今度はより強い麻薬に手を出すことは誰もが容易に想像がつく。本来であればこれほどまでにバブル化した後は長期下落相場を想定すべきだとは思うが、こういったシナリオを考慮すると次の買い場もそう長くない可能性がある。本当の地獄は、その後であるのかもしれない。

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