先月から約1か月にわたりハイペースで上昇を見せていた食品株が、足元指数のリバウンドにも乗れず調整している。
かくいう本日も食品株は指数の半分も上げていないところが多く、マイナス圏のものすらある。
先導的な大型株、例えば日本ハムやニチレイ、明治は既に25日線を割れ一部は週足MAも割ってきており、急騰したグリコのような銘柄も25日線が射程圏内である。
明らかに上げのペースが早かったので一旦の調整は想定内だが、これが押し目なのかイッテコイになるのかは半々だろう。
一つは決算についてであるが、既に下記のようなニュースが出ている。

急ピッチに上昇した食品株、1Qには注意が必要~SMBC日興
https://www.traders.co.jp/news/article/1_1758964

まあこんなことは言われるまでもない話であるし、さらに言えば資源価格が下げ始めたのは先月からなので円安の継続を含め原価反映を考えれば2Qですら厳しいのは間違いない。
問題は、悪決算を今のバリュエーションと株価位置で織り込めているのかということだ。

一部の銘柄を除き、食品株のバリュエーションは現状ではすでに大して安くないレベルになっている。
2015~2016の食品株バブル以降ではまずまずの位置だが、民主党時代を含めれば全くと言ってよいほど安くない。
安いかどうかはパッと見て分かる方法は年足を見ることである。大抵の食品株は年足ではMAにすら達していないし1σ位の中途半端な位置が多い。
そしてヒストリカルのPBRが過去10年最低から既に数割も上がっているのがほとんどだ。
あと、ミックス係数が20を超えているものはヒストリカルがなんであれそもそも絶対的な安さはない。

更に、中銀の引き締め懸念の後退は今日の半導体の大きなリバにも見て取れるように、ディフェンシブは対極の銘柄への資金流入を加速させる。最近のディフェンシブ上げは指数が一貫して下げてきたおかげでもあることを考えると、これはあまり良いことではない。

決算まで1,2週間と迫ってきているが、個人的な感覚でいえば週足MAまで調整の入ったものはまあ比較的安心していられるものの、足元急騰した後25日線すらタッチしていないような状況で決算突入はオッズが悪いというべきだろう。
バリュエーションに安さのない銘柄はなおさらである。

後は円安であるが、これはある意味資源価格以上に重要だろう。米株の食品株と異なり日本の食品株は多くを原材料輸入に頼り内需中心のため為替影響が大きい。円安はピーク論が喧伝されるたびに高値更新を続けている。また、リスク資産が下がらない限りは本格的な円高への反転は見込み薄であることを考えれば、足元の状況はあまり期待できるものではないだろう。

食品株はそもそもが上値余地に倍や3倍などの余地はなく、せいぜい数割といったものがほとんどであるから、言い換えれば下値余地は限りなく小さい状態で買わないと意味がない。分かりやすい基準としてはコロナ安値から1割以内、とか、直近の年安から1割以内、といったところだろうか。

結論としては、
・現状の食品株はヒストリカル、絶対値共に既に大して安くない
・この位置のまま決算突入はオッズが悪い
・例えば2008などと比べ為替の状況が全く違うので今後の経過も異なる可能性
・新規買い、買い増し共に最低でも週足MAまで引き付けるべきだろう

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