やはり悲観の顔をした楽観が多かったか、JH通過上げを期待していた人が多かったようだがCPIに続いて柳の下にドジョウは二匹いなかったようだ。
とはいえ売り方が喜ぶのもまだ早い。米株の初期反応は翌日以降と真逆のパターンもあるし、そもそも日経はダウ1000ドル下げなのにまたしても先物500円しか下げておらず28000円台である。こんな水準はコロナ前なら大天井、夢の夢であったはずだ。
(※何度も申し上げているが私自身は売り方ではなく安く買いたいだけの買い方である。空売りはしないし信用口座すら持っていない。)
皆コロナバブルで感覚がおかしくなっている。ダウ3万が暴落の大底になっていたり(笑)、この2年半で世界経済はどれだけ成長したのか。成長したのはばら撒いたカネの総量だけである。ただ通貨価値が減価しただけである。まあ、それでも市場界隈では名目の株価が上がればオールOKなのだろうが。
さて、私自身は以前書いた通りシクリカルは全撤退しており今週はSantenと住友Pを買い増し続けこの2つで主力のメグに近づく程度のPF占有率となった。
実質的に現在のPFはメグとSantenで過半を大きく超えており、ほぼこれらの動向次第ということになる。
そんなSantenが昨日は一時1000を割れた。自社株買い期間中でこれなのでまだまだ下値余地はあると思うが、週足チャートでは目先年安付近で止まるかどうかが焦点だろう。とりあえずそのあたりではさらに一定買い増しをしようと思っている。
一方でせっかくボリバン離れの良い月足チャートであったところが、仮にこのまま月末に向けて安値引けとなると大きな陰線で一段下への下落を示唆することになる。さすがに再度-2σの800円台、PBR1割れは指数が3000円も4000円も下げない限りは難しいと思ってはいるが、元々の山下り想定ライン920付近への突込みはメインシナリオになる可能性もあろう。今のところはここを本番と想定して指値をしている。
6月の流れの再来となれば、ディフェンシブは指数下げの前半は連れ安するものの途中から耐性を示し逆行する動きであった。今ディフェンシブが買われる要件は相場がリセッションを意識したトレードになることである。口だけのパウエルに何も期待していないが、痛みを伴ってでもインフレ抑制との文言を素直に受け取れば、再度リセッション意識のトレンドになることも幾らかは期待できよう。一方でドル円に関しては素直に円高になる感覚は未だ持てない。これ故に同じディフェンシブでも食品を買い増すのではなく比較的為替に中立な医薬品セクターに注目している。
そもそも食品銘柄は先月までのリバウンドからまだ調整が不十分であるものが目立つ。メグはすでに十分安いが、大型の下げはかねてから一貫して言い続けているが甘すぎる。もっとも、これは医薬品にも言えることであり、結局のところ、そりゃ日経がこの位置だからねという元も子もない結論に達してしまうのである。
私自身は引き続きFED含め世界の中銀が本気で引き締めにかかれるとは思っていないし、この衆愚政治の末路は権力側の制御しながらの理性的な崩壊などではなく制御不能な形での暴走による崩壊しかないと考えている。
即ち市場に関して言えば(すでに信頼を失っているとの声も多いが)中銀信仰の崩壊、中銀が緩和することが逆効果になるような、無秩序な緩和とBS拡大への逆回転、信用収縮しかないのではないだろうか。或いは逆に、インフレ的なクラッシュとなるのなら、名目株価至上主義の投資家にとっては夢のような結末にも見えるが、ではジンバブエで株を持っていて助かったのかといえばそうはなっていない(現金よりはましだが)。もっともこれは最終ステージであって目先の話にはならない。
大緩和時代のパラダイムに染まった現在の市場参加者には一笑に付されるのであろうが。
それにしても、緩和と麻薬はここまで瓜二つなのは本当に興味深い。麻薬がいずれ身を亡ぼすように、市場も最後は緩和そのものにより滅ぼされるであろう。