円安デメリット系ディフェンシブの今後

ドル円は逆張り派が「もう天井でしょう」と言えば言うほど上がる皮肉な相場になっている。

かねてから言っているように、70~80年代パターンになるリスクがあるので大緩和時代のパラダイムにのっとった安易な逆張りは危険な領域に差し掛かりつつある。最後の頼みの綱は98年に見られた140越えからの大暴落であるが、ドル円の暴落に賭けるというのは事実上米国のインフレがすでにピークアウトしリバらずに大人しくなることに賭けることと同義であり、私はこれにはあまりかけたいとは思わない。

多くの大緩和パラダイム・デフレパラダイムに染まった信奉者たちがちょっとした経済指標の鈍化ですぐにインフレピークアウトを喧伝することと同義でもあるからだ。

さて、ここ数日の日経はこれほどまでの円安にもかかわらずその下駄がめり込みつつあるような雰囲気であり、さすがに輸出系にとってもここまでの円安はデメリットが多いことは既に認知されていよう。

そしてとりわけ外人比率の高い銘柄に至っては、ドル建てでの株価が円安により過去最低クラスになっているものも多く、順張り派の多い彼らの損切を誘っているのではないか、と感じる。

例えばマキタやSantenは円建てでも相当なチャートだが、ドル建てでは前者は既にコロナ安値(円建てでは2700あたり)、後者に至っては民主党時代に並ぶ7ドル割れでドル円が100円ならすでに700円割れレベルとなっており、ADRチャート上では上場来安値状態である。

日本の逆張り派にしてみれば「これだけ安いのだから買いが入るだろう」という発想だろうが、海外勢に多い順張り派からするともはや底なし沼で損切りするしかないという発想も容易に想像できる。

さて、こういった外人比率の高い銘柄とともに、良く売り込まれているのが円安デメリットの内需系ディフェンシブである。

昨日は森永乳やアリアケ、メグもそうだが、いくつかの食品が年安付近に沈み、ニトリや無印などの小売りも売り込まれた。

明らかに円安を嫌っての動きであり、例えば食品系の想定レートが120円台が多いことを鑑みると、もはや2Q以降の下振れは必至でありそのあたりを織り込みに行く動きだろう。

一方で円高に転じれば指数が下方圧力を受けるのも必至で、その際にいくら円高メリットだからと言ってこういった食品系が逆行高を演じられるかはいささか心もとない。

ITバブル期やリーマン前と現在ではいわゆるパッシブファンドの影響力が段違いに異なるのは周知の事実だ。下手をすると6月半ば~7月半ばのしょぼい1割ほどのリバがこれらディフェンシブの最後のあがきであった可能性も捨てきれない。

というのも、例えば花王などのトイレタリー、KDDIなどの通信系、食品の中でも飲料や海外比率の高い大型系はこの期間に相応な高値を付けており、ディフェンシブの相場終盤のリバがこれであった可能性も無いとは言えない。

まあたとえそうであってもほとんどリバっていう無い円安デメリット系の不人気銘柄はバリュエーション的にそこまで大きな下値余地があるとは思えないものの、70-80年代パターンとなればドル円は皆の期待に反し130~140台のレンジで高止まりする(すればまだましか。150行かないだけましか)可能性もあり、いくら資源価格が下がってもこの為替では不人気食品はすでに民主党時代に似た低迷レンジへの移行に入っている可能性もある。

そして資源価格自体、このまま落ち続けるという期待は米国のインフレがこのまま落ち着くという期待と同義であり、甘すぎる気しかしない。

ごちゃごちゃ書いたが、円安デメリット系については

・円安の定着リスク(=米国のインフレ定着リスク)が相応にある

・円高に転じた際の指数下げに耐えられない可能性(パッシブファンドの影響力が過去とは全く違う水準)

この2つがあるので実際に指数が相応に下げないと(ずっと言っているがPBR1倍水準の中規模調整は必要)、大きく買うことは危険だろう。

楽観的シナリオとしては、もはや円安が日本株のリスク要因になっており円高に振れた際に指数が上げで反応するというウルトラC的なシナリオだ。

確率は低いとは思うがあり得ないとは言い切れない。このパターンだとドル建て日経は円高と円建てでの上げの二重で上がるので急上昇する形になる。まあ日経ドル建ては既にドル円がまともなら日経2万円クラスであったので、あり得なくはないが、円建てで再度3万を超える形が必要になるのは引っ掛かる。

既に8月の日経は月足で上髭でトリプルトップを付けたとしておかしくない形であり、各国指数は現地建てで見るのが基本であることを鑑みればこの楽観シナリオに賭けるのはヘッジ的な規模のポジションサイズで十分だろう。

最近は為替に比較的中立な医薬品を買い増し続けているのはこうした考え方からであり、指数が大きく下げるまでは医薬品を中心に見ておき、食品など円安デメリット系の買い増しは指数がしっかり下げた際に行う予定で居る。

指数が下げ切るまで何もしないのももちろん選択肢として十分ありだとは思うが、円安定着リスクによる日経吊り上げ定着リスク(民主党時代の逆バージョンが数年続くリスク)を考えると、為替中立銘柄でディフェンシブでなおかつ相応に安ければ一定買っておくのは悪くはないのではないだろうか。無論、ポジションサイズは十分に抑えた上で、である。

円建てでキャッシュ待機しているのもドル建てで見れば既に3割近い含み損を抱えていることに等しく、これはこれでリスクであるともいえる。インフレが落ち着いたとして、それはYoYでゼロになったところで既に上がっている分が戻ってくるわけではなくそれには猛烈なデフレが必要だがまああり得ないだろう。円ないし現金の減価は既に一定程度は決定づけられたに等しく、キャッシュ待機組はリスク資産のそれ以上の暴落を待つしか道はない。いやはや、それまでにこちらの寿命が持つだろうか。

 

 

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