以前の記事でも書いたが、異常なまでの緩和がいずれ逆に作用するときが案外近づいているのかもしれない。
昨日の英国は大型減税と財政出動という愚かなリフレ派が飛びつきそうなネタでトリプル安となった。
インフレという魔物がパンドラの箱にしまわれていたコロナ前までならこういった景気刺激策は能天気なリスクオンを産んでいたかもしれないが、時代が違う、パラダイムが変わっていることにリフレ派は気づいていなかったようだ。
インフレ下での緩和とは火に油を注ぐないしは焼身自殺と同義であるのに、インフレを知らない「現役世代」のリフレ派がまさに「飛んで火に入る夏の虫」状態となっている。
説明するまでもないが、インフレ下の緩和は財政悪化、国債の需給悪化、政府、中銀のBS悪化により金利上昇を招き株も債券も売られる素地が整う。そもそもFEDがあれほどインフレを嫌うようになったのは何も低所得者のお財布に配慮してのことではない。過度なインフレが定着すると緩和をしたくてもできなくなることを分かっているからだ。つまり、現在インフレファイターとなっている各国の中銀の真意は、将来の緩和余地を早々に取り戻したい、もっと言えば「緩和したいがために引き締める」というパラドキシカルなものに他ならない。
MMTではインフレが度を超えれば増税をしてストップをかけるのではなかったのか。そんなことが衆愚政治、いや民主政治で本当に出来ると考えていたのならそれこそお花畑にもほどがある。今の各国の状況を見るがいい。インフレが進む中、増税するどこか補助金をばら撒いたり減税したり。経済理論など票集めの理屈の前では脆くも崩れ去る。
さて、日経とともに相対的に高値圏で耐えていた英国FTSEも昨日は安値に沈んだ。主要国の中でつりげられている指数は日経だけとなった。核爆弾が日銀に落ちても頑として動かない黒田円安が支えているのは明白だが、この岩が崩れ去るときは果たしてどうなるだろうか。相変わらずこの国はガラパゴス化が好きな国である。