あえて円高+株高の可能性を再考する

私はかねてから日経は円安の下駄を履いていると言い続けてきたし今もそれは変わっていないのだが、敢えて今回はその逆の可能性について考えてみたい。

そもそも、日経が他国指数に比べ耐えているのは明白であり、円安=通貨価値の低下であるから名目である株価にプラス寄与があるのは当然である。更に以前の記事にも書いた通り、円安はBPSやEPSの押し上げ効果があるのでバリュエーション面でも支えとなり得る。

一方、例えば80年代後半のバブルはプラザ合意後の円高局面で生まれた。

そして現在はインフレがパンドラの箱から解き放たれ、大緩和時代のパラダイムは悉く通用しなくなっている。

今の世界の中心は米金利であり、これが上がるとリスクオフ、下がるとリスクオンになるのは皆承知の通りだ。

ドル円は前者で円安、後者で円高となっている。すでにこれは大緩和時代のパラダイムとは真逆だ。

これ故に日経がやたら耐える胡散臭い展開が半年以上も続いている。

既に足元、為替が円高方向に振れてもさほど日経は下げないどころか上がる日が多い。

これは、円高が日経を押し上げているのではなくあくまでも米金利の低下によるリスクオン地合が日経に波及しているという相関関係であることに留意したい。

そして、足元の円高方向への振れというのはいわば超絶円安が超円安になる程度の話であって、多くの人が円高としてイメージする100円以下などとは程遠い。

私は、このレベルになった際に日経が下駄を脱がされるという話をずっとしてきているのであって、148円が138円に、はたまた128円でもよいが、そんな程度の円高は円高と呼びたくもない。元々ドル円は80-120円のレンジが長らく続いていたのだから。

さて、プラザ合意はご存知の通り激烈な円高をもたらし、今でいえば一気に100円を割る流れに相当する。これでも当時は日経はバブルに向かったのだが、これをもってして「円高でも株高になり得る」と考えるべきなのだろうか。

私にはこういう解釈をする人はやはり因果関係と相関関係を混同していると感じざるを得ない。

そもそも日経のバブルは当時の円高不況に対し強烈な緩和をしたことが発端であって、別に円高を好感したわけではない。

円高→日経バブルではなく、円高→不況→緩和→日経バブルであり、間接的な要因と言えば言えなくはないが直接の要因では当然ない。

で、現在日本の状況は例えここから円高不況になったところでどんな緩和ができるというのか?

既に引き締めに転じている欧米ならまだしも、習近平がゼロコロナの過ちを認めないのと同じくらいの愚かさで黒田は緩和の弊害を認めず意固地になったままだ。この両者、ただただ己のメンツだけしか視野にないという点で非常によく似ている。インフレは一時的で世界の笑いものになったパウエルはまだ過ちを認めるだけまともと言えよう。

話がそれたが、既にETF買い入れという米国ですら抜いていない伝家の宝刀もとっくに抜いた日本に、これ以上の緩和が出来るはずがない。そもそも、30数年前と比べ「異次元」に膨れ上がったBSを抱えた日銀や政府が野放図なバラマキをしたところで足元の英国と同じ反応を得るだけになるだろう。即ち、緩和が毒になる地獄である。

日経バブル期は円高の日経押し下げ効果を緩和の押し上げ効果がはるかに上回っただけであり、その再来はまず見込めないと思う方が妥当だ。一方で、現在の最大のリスク要因が米金利の上昇=インフレの暴走である以上、これが落ち着いた際のリスクオン地合はあまり侮るべきではないとも思える。即ち、強烈なハードランディングはさすがにダメだろうが、少々の不況やそれに伴うEPSの減少はさほど問題にならない可能性がある。というのも今年の株式の調整は殆どがERPの面からのものであり、金利さえ下がれば全て帳消しになる可能性は否定できない。

当然米金利が下がれば円高になろうしともすればキャリーのアンワインドで結構な振れ幅になろうが、リスクオン地合がそれを上回る可能性は否定できない。

この時、円高+株高のコンビが成立することになるが、これはあくまでも結果論であって別に円高が株高を産んでいるわけではない。

最後に、パラダイムシフトの重要性という点では、良く言われる「利上げしているうちは暴落しない、利下げに転じてから暴落する」という暴落論者のアノマリーにも注意が必要だ。確かにデフレ大緩和時代=ここ20~30年はそうだった。というのも利上げしている=景気が良い(=ディマンドプルインフレ)、利下げしている=不況に突入であるから当然である。

しかし70-80年代のパラダイムはこれとは真逆だった。当時はFF金利が天井を付けたところが株のボトムで、利下げ中は既に反発している。(=次の売り場)

これは当時の利上げ=悪性インフレ、利下げ=その解消であるからで、現在は明白にこちらのパラダイムで相場は動いている。

にも拘らずいまだに大緩和時代のパラダイムに固執している人があまりに多いように見える。まあ、人間実際に知っている、経験しているものしか理解しがたいので当然と言えば当然だろう。かくいう自分もそうであるので、ついついドツボにはまってしまう。

おそらく大緩和時代しか知らない参加者(=自分も含む)は、当面常識の裏返しが常識だと思って相場に臨んだ方が良いのだろう。

そして最終的には、緩和が毒になり引き締めが薬になる相場が来ると思っている。

 

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