当面の投資方針について考えてみたい。
私としては2~3月のバリュー相場を経て以降、指数が頭打ちになり緩やかに下落を見せる中可能性としては高くないものの早春の3万越えが天井であった可能性を鑑み食品等ディフェンシブに主力を移行させていったわけだが、結果としてこれはやや早すぎた。
下記のチャートを見てもわかる通り、実は日経はS&P500比でみても、この春以降こそボロ負けだったもののそもそもワクチン相場から3月権利日まではアウトパフォームしており、春以降もダウ比で見れば夏休み期間のみアンダーパフォームしていたにすぎない。要は元々強すぎただけで、日本の金融メディアが喧伝していたほど春以降も弱かったわけではない。ただの帳尻合わせをしていたに過ぎなかった。
要は思ったほど日本株は死んでいなかったのであり、もう少しアフコロやシクリカルを引っ張っておくべきだったとも言い換えられる。実際、私の損益を見てもこの春までの利益がほとんどでありディフェンシブに変えてからの利益はかなり小さくなっている。
一方、今この期に及んでディフェンシブから再度アフコロやシクリカルに戻す気にはならない。
アフコロについてはそもそもファンダメンタルズから見て魅力に乏しく、毀損した財務を鑑みれば既にコロナ前を遥かに超えて買われているものが目立つ。既にここまで長期化した対コロナ戦争が終結したとして、いわゆる反動消費がそこまで大きなものになるとはこの国の国民性を考慮してもあまり思えず、仮にそこそこの反動消費があったとして数年分のEPSを吹き飛ばした巨額赤字をどれほど穴埋めできると言うのだろうか?無論、株は期待先行、未来を見て買うものとは言えども、内需中心、いつ戻るかもわからないインバウンド頼みの日本のアフコロ株をPBR2や3で買う気には到底ならない。
シクリカルについては、そもそもセクターの優良銘柄が既に月足高値圏にあり、なおかつそのチャートが崩れてきているものが目立つことが、ごちゃごちゃとしたマクロ経済を語らずとも「危険」であるということを指し示しているように思える。

↑コマツの月足
もちろん、バリュー株のバブルであったリーマンショック前、2007年辺りには遥かに高かったシクリカルもなお多く、現在の資源価格高騰が続けば恩恵銘柄には更なる上昇余地があるかもしれない。ただ、現在の金利状況を考えるとそこまでバリューが高騰するようにはあまり思えない。
結局のところ、冷静に考えてここから先上昇余地と下落余地の比較では後者が大きいのはほぼほぼ明らかであり、時間軸的にもここから先2年も3年も調整なしに上昇相場が続くとは到底思えない。

上のS&P500の月足チャートを見ても、もう1年も12か月MAにすらタッチしていない。上昇の角度、乖離率からしても従前の上昇トレンドとは異質であり、早々に調整が入らないのならば逆説的にバブルの確度を高めることになろう。
となれば結局はディフェンシブで調整に備えるしかないという結論になる。2Q決算についてもシクリカルは良すぎた1Qに対する反動の恐れがあるし、アフコロは2Q壊滅なのは自明の理だとして出尽くし上げに期待するしかない一方、ディフェンシブのそれは相応に無難なものが想定される。
もっとも、食品に関して言えば直近の商品価格高騰によるコストプッシュはやや心配ではある。値上げを既に表明しているメーカーも多いが3Qからの値上げであり、2Qの影響は不透明である。ただ、今のところ日本のコストプッシュインフレについては海外市況の影響による間接的なものが主因であり、純粋な国内要因に関して言えばそこまでの状況ではないと見える。
指数が暴落すればたとえディフェンシブでも巻き込まれるのは当然であるし、それはコロナショックを見れば明らかだが、一方でその下げ率は指数と同程度かやや低めに抑えられる傾向にある。また、ディフェンシブは暴落直後のリバウンドが早いことも特徴であり、これは景気動向に左右されにくいがために悪い地合いのなかでも比較的買われやすいということである。
最近は食品含めディフェンシブもそれなりに上がってしまったため、次に述べる可能性はかなり低くなったと見えるが、ITバブル期は食品や鉄道など非IT銘柄は指数に逆行安し、指数の天井で大底をつけ指数の下落とともに逆行高して行った銘柄も散見されていた。今回のコロナバブルは当初グロースバブルであり、このITバブルパターンを鑑みればディフェンシブ、バリューなどはバブル崩壊とともに逆行して上がり始めるという可能性を去年は(少なくとも7月末のバリュー二番底、10月末のバリュー三番底では)考えていた。
ただ、現状では
①バリュー株の中でも多くの大型株は月足高値圏まで上がってしまったこと。つまりもはやグロースだけのバブルと言えないこと。
②食品、日用品、医薬品などはコロナショック直後にややコロナ特需もあって一時的に買われたもののその後は一貫して売られ続け指数に逆行安してきたが、それでもバリュエーションがまだまだ割安とは言えないこと
③特に食品については2015~2016年に天井を付けたのち月足で見ても下げ続けてきた銘柄が多いものの、そもそも当時が食品バブル的なバリュエーションであっただけで現状でようやく正常に戻った程度であること
④ITバブル期の食品など逆行安銘柄はバブル崩壊後の90年代の長期下落相場の最終局面としてそれこそ相当に売り込まれた結果であったが、例えば現状の食品株にしても割高に買われすぎた5年前から緩やかに下げ続けたに過ぎないこと。日用品、医薬品は元々バリュエーションが高くむしろ今まで買われすぎていること
以上の理由により可能性は限りなく低くなったと思うし、10%程度しか期待していない。
それでも一部の食品株は割安であると思うし、現在のPFの主力としてもっとも「マシ」な選択肢だと思っている。
従って当面はこのPFのまま、本格下落を待つことになりそうである。

↑グリコの年足チャート。ITバブルの天井で大底を打っている。食品株や電鉄株の幾らかに似たようなケースが見られる。